ETFファンドが3月や9月に行う「配当再投資イベント」の仕組みとは?

株式

1年に2回。3月と9月に行われるETF・投資信託などのファンド・年金基金などによる配当再投資というイベントがあります。

場合によっては、5000億円以上の需要になる場合もあります。そんな配当再投資に関してどういう仕組みなのか、ということを解説します。

配当再投資のイベントの仕組み

配当再投資の買いは、指数に連動するインデックスファンドが行うものです。

3月や9月は、配当落ちがあります。ただし、それによってファンドが保有している現物株の株価も配当分落ちます。当然その落ちた分は配当をもらうことになるのですが、その配当は2~3か月後ということで、配当を企業から受けとるにはタイムラグがあります。

その間、配当分が入っていないことになります。

この目減りによってトラッキングエラー(乖離)が起こってしまうため、それを嫌ってETFファンド・年金基金は配当で受け取る金額分をあらかじめ先物に投資する方法です。

具体的にはTOPIX先物や、日経平均先物などを買います。

いつ配当再投資が発生するのか

いつ発生するのかというと、上場企業の決算期末が多い3月、9月などの権利付き最終売買日権利落ち日の2日間付近で発生します。

一般的には、大引けにかけて機械的な買い需要が入るということになります。これがいわゆる「配当再投資イベント投資」(イベントドリブン)として有名な需給になります。

この配当再投資イベントをどうトレードに活かすのか

個人投資家として、この大引けに入る配当再投資の買い需要に備えてどうトレードにいかすべきでしょうか。

その方法は、ザラ場中にプレポジションを作って、それを大引けの買いにぶつけるという方法です。

これによって、自分の持ち株を配当再投資のファンドによる機械的な買いで売ってしまうことで利益を得ることができます。

ですが問題点があります。

それは、この引けイベントを多くの投資家が見越してポジションを持ち、その投資家が持つプレポジションの量が、際に大引けに入る買い需要よりも多くなってしまうと、買い需給よりも売り需給が多くなってしまいます。そうなると引けにかけて、株価が下落してしまうおそれがあるのです。

なので、あくまで、実際に大引けで売られるプレポジションの量と、実際に大引けにETFなどが買いに入る買い需要のどちらが大きいかというところにこのイベント投資の成功の可否は依存するということになります。

なので、投資家がこの配当再投資イベントに向けて、どの程度のプレポジションの買いをもって、大引けにかけて売ってくるのかということを予測することが重要になります。

その後の相場は?

では、この配当再投資によるイベントドリブンが起こったあとの相場はどうなるでしょうか。

上記イベントによる買い需給や、そもそも権利付き最終日までに、配当優待取りの買いが入ってきやすいところもあり、この権利付き最終売買日、権利落ち日付近までは需給的に心理的な買い支え感があるということになります。

なので、逆にそれ以降はその支えがなくなるため、この配当再投資イベント以後には相場的の下落懸念が台頭することがよくあります。

もちろん、必ずそうなるとは限りませんが、あくまで一般論として、こういう傾向にあります。

なので、需給イベントとしてその後の全体相場への与える影響もあるということも認識しておくとよいかもしれませんね。