FXの長期投資で儲けるのは可能なのか|上手なやり方と注意点を解説

為替

外国為替FXというのは、ドル円、ユーロ円、ユーロドルなどの為替通貨ペアの売り買いをしてその差益を得る取引です。

同じく金融商品である株や、現物を扱う不動産の場合、同じ投資でも長期保有によって、利益を得ていく長期投資という手法があります。

株式の場合、配当収入と値上がり益、不動産の場合、家賃収入と値上がり益を期待できます。

となると、気になるのが、

外国為替FX取引の、長期投資で儲けることは可能なのであろうか?

という疑問ですね。

結論から述べますと、FXの長期投資で儲けることは可能です。

 

確かに、長期保有することによって、価格変動のリスクが大きくなるので、危険でリスクが高いという風に考えるトレーダーの意見もあるようですが、

きちんとポイントをしっかり守ることができれば、FXの長期投資で利益をあげることはできます。

 

外国為替FXの長期投資で儲けるために必要なポイントは、以下の2つです。

  • 長期トレンドに順張りする
  • スワップ金利がプラスのポジションを持つ

上記2つのことを意識することで、FXでも長期投資のようにポジションを長く保有することは可能です。

週足、月足ベースの長期トレンドに順張りする

FXで重要なのは、トレンドが発生している時はそのトレンドが続く限りポジションを保有し続けることです。

なぜなら、トレンドが続く限り、含み益が拡大していくため、途中決済せずに持っておくことでポジションの含み益をどんどん増やしていくことができるからです。

途中決済しないことによって、無駄なスプレッドを喰らったり、短期的な値動きに一喜一憂しないという心理的なメリットも存在します。

明確な長期トレンドが出ているならFXで長期投資はできる

トレンドというのは、1分足、5分足、15分足、30分足、1時間足、4時間足、日足、週足、月足、それぞれのローソク足の時間軸ごとにトレンドが発生しています。

数分でポジションを決済するスキャルピングトレーダーや、1日の間でポジションを終わらせるデイトレーダーはは、1分足、15分足といった比較的短期間のローソク足を見たそこから導く出される値動きのトレンドを重視します。

一方で、スイングトレーダーや長期保有プレイヤーなどは、1時間足や日足、週足など、長い期間でのトレンドを見て取引します。

この長期投資のタイプの投資家は、週単位、月単位で相場の値動きを追っているので、必然的に長期トレーダーのような取引手法になります。

1分足、15分足といった比較的短期間のローソク足を見た場合に、下落トレンドが発生していたとしても、日足、月足で見た時には上昇トレンドが発生しているなんてこともある訳です。

つまり、週足月足レベルで明確な上昇、もしくは下落のトレンドが出ているのであれば、トレンドが終わるまで、数ヶ月、数年単位でポジションを保有し続けることはなんらおかしなトレードではないということになります。

そのため、FXで長期投資をすることは可能なのです。

最初はデイトレ、スイングベースの取引のつもりで保有していたポジションが、思いもよらずに長期のトレンドに乗り、決済せずに持ち続けていたら、結果的に長期投資みたいになっちゃっているというパターンもあります。

実際にFXでポジションを長期保有するケースでは、長期投資を狙ってトレードするというよりは、上記のように、トレンドに順張りしていたら、気づいたら決済せずに持ち続けて、結果的に含み益が拡大していたという風な感じになることが多いような気がします。

もちろん、トレンドによっては、数分で終わってしまうようなものもあるのでそれはそれで決済すれば良いのです。逆に、数年間続くトレンドもある訳ですから、その時の相場の動きをみて、それに合わせてトレードするということが大切です。

トレンドの大元になるイベントを把握することが大切

例えば、ドル円は第二次安倍内閣が発足して以降、アベノミクスでドル円相場は上昇(ドル高、円安)を続けています。

色々な因子が複雑に絡まっていますが、2012年から始まった安倍政権による金融政策によるドル円相場上昇を決定づけるのは日米の金利差でしょう。

日銀はゼロ金利政策、アメリカのFRBは先進国の中でも早々に利上げを進めてきました。その金利差によってドルを買い、円を売るという明確な長期トレンドが発生しています。

この金融政策によるトレンドによって、数少ないとは思いますが、1ドル100円未満でドル円をロングしているプレイヤーも少なくないかもしれません。

このように、日米の金利差という一つのトレンドが生じているうちは、ずっと保有しておき、それによって得られるドル円上昇による含み益拡大をずっと保有することはできるという訳です。

スワップ金利がプラスのポジションを持つ

次にFXで重要なことは、スワップ金利がプラスの方の通貨を持つということです。

スワップ金利がプラスの方の通貨を保有する、メリットは主に下記の二つです。

  • 持ち続けるだけで、スワップ金利がもらえる
  • 金利が高い通貨は買われる為、通貨高になりやすい

スワップ金利がもらえる

FXを長期保有することのもう一つのメリットは、スワップ金利をもらえるというものがあります。

スワップ金利とは、通貨間の金利差によって生じる、金利収入のようなものです。

例えば、日銀のゼロ金利政策によって日本円は金利がほとんどつきませんが、アメリカ米ドルは国債利回りが2%程度あるので、ドルには金利がつきます。そのため、円売りドル買いのロングポジションを持ち続けることで金利もらうことができ、逆に、ドル売り円買いのショートポジションを持つとスワップ金利を払わないといけません。

これがスワップポイントです。通貨間の金利差によって異なるので、時期や通貨ペアによってその金額が変動するのが特徴です。

スワップポイントがプラスのポジションを保有することで金利を得ることができるのです。

例えば、業界の中でも優良なスワップポイントをうたっているSBI FXTRADEでは、ドル円ロングの場合、10,000通貨あたり79円のスワップ金利(2019年1月8日時点)をもらうことができます。(スワップ金利詳細はこちら⇨SBI FXTRADE スワップポイント一覧

 

このスワップ金利がいつもらえるのか、というと、FX会社によって確定時間というのが定まっています。

たいていの場合、日本時間の朝5時〜7時あたりにポジションを持っているトレーダーにスワップ金利が確定されます。

また、スワップ金利は日歩で確定するので保有しているだけで、持ち続けることで毎日スワップポイントをもらうことができます。

ドル円のロングポジションを10000通貨を、1ヶ月保有しておくだけでも、単純計算で2370円ほどもらえる計算になります。

為替相場が変動しないのであれば、理論上はインカムゲインとして不労所得のような感じになっているのです。いわゆる、夢のスワップ金利生活というものですね。

スワップ金利がつくポジションは、ファンダメンタル的に上昇しやすい

スワップ金利がつくポジションに順張りするという手法は、値上がりが期待できます。

なぜなら、金利が高い通貨は買われやすいからです。

為替レートが動く理由として、金利差というのは非常に重要な要素になります。

金利が高い通貨は、通貨を保有するだけで金利収入を得ることができたり、その通貨建の国債を購入することで利回りが期待できるので、相対的に他の通貨に比べて、買われやすくなります。

そのため、スワップ金利が高い通貨へ順張りするというのは、ファンダメンタル的にも、トレンドに乗る動きになるため、長期的に見たらリターンを得られる可能性が高いということになります。

ただし、金利が高い通貨は買われやすいので、すでに十分に買われている可能性があるので、その点では、順張りのポジションを持つタイミングというのには注意が必要です。

FXの長期投資の注意点・問題点

長期トレンドを間違えると大きな損失になる

確かにFXで長期トレンドに乗る長期投資をすることで、大きなリターンを期待できる場合があります。

ですが、必ずしも、トレンドに乗れるとは限りません。

特に多いのが、スワップ金利狙いの長期保有をするが、トレンドが転換して、為替差損が出てしまうことでトータルでマイナスになってしまうことです。

仮に、スワップ金利でプラスでもらえたとしても、長期トレンドを読み間違えてしまったり、そもそもトレンドの終盤でエントリーしてしまって、そこからは値上がりがあまり期待できないようであれば、トータルで考えてあまり大きな儲けにならなかったり、場合によっては損失を出してしまうこともあります。

中央銀行の政策金利の変更

また、中央銀行の金融政策の変更によって、政策金利が変更になり、スワップ金利が変動する可能性があるのも注意が必要です。

政策金利が変更されると、プラスでもらえていたスワップ金利がマイナスになる可能性もあるわけです。

そのため長期保有だからといって、放置をしておけば良いのではなく、きちんと相場の状況を把握したり、日頃から経済や金融情勢の変更に注視する必要があるというわけです。

FXは、複利効果を働かせにくい

長期投資のメリットの一つとして、複利を働かせることができることが挙げられます。

複利とは、インカムゲインを元本に組み入れて、再投資してより大きな元手でさらなるインカムゲインを狙っていくことです。

そうすることで、元本も増加、インカムゲインも増加、という2つの側面でリターンを多くすることができます。

例えば、株式投資でいえば、投資した企業が利益をあげて、その利益から配当金をもらったり、配当が出なくても、その利益を企業内部留保として貯めることで株主資本を厚くして、その資本で事業投資をすることで、さらなる利益を増やし、それが株価に転嫁されることで投資家のリターンが増えていきます。

株式投資は企業が利益をあげ続ける以上、複利効果を働かせることができます。

そのため、株式の長期保有は、長期投資として適合するのです。

 

では、FXはどうでしょうか。

確かに、FXトレードでも、スワップ金利というインカムゲインをもらえますし、そのスワップ金利だけを引き出すことができるFX会社は多いので、それを再投資するということは可能です。

ですが、そのスワップ金利で得た金利収入を上手に再投資することが難しいのがFXの難点です。

主に以下の2点があります。

  • スワップ金利収入額はそこまで大きくない
  • 自動的な再投資ではない

 

まず、一つ目は、スワップ金利による収入はそこまで大きくないということです。そのため、FXに再投資する為の必要証拠金がたまるまでに時間がかかる為、効率があまりよくないということが挙げられます。

 

次に、FXの複利は自動的な再投資ではないということです。

株式投資の場合は、利益のうち、企業に内部留保されたお金は企業が自動的に事業投資をしてくれます。

そのため、仮に専門的な知識を持っていなくても、事業のプロである上場企業が私たちの代わりに事業に投資してくれるので、複利を自動的に期待することが可能です。

ですが、為替FXの場合、スワップ金利がもらえますが、そのお金を自分自身で能動的に再投資する必要があります。

もちろん、その方が良いという風に思う方もいるかもしれませんが、必ずしも適切な再投資がいつもできるとは限らないという点に問題点があります。

仮に、そのスワップ金利を下ろして、生活費に使ってしまったら、複利効果を得ることはできません。

このように、FXには複利を働かせにくいという欠点があるわけなのです。

すべての長期投資には共通するリスクがある

最後に、すべての長期投資には共通するリスクがあります。

それは、個人的な資金需要です。

自分の人生に起こる何かしらの事情で、お金が必要になり、ポジションを途中で売却しなくてはならないという事態です。

例えば、ローン返済、離婚の財産分与、賠償金の支払い、難病の治療、相続などです。

長期保有していると、あまりレートがよくない時に売却しないといけないリスクに晒されます。

 

この点についてはこちらの記事でも述べてますので、合わせて参考にしてください↓

株式の長期保有の注意点とは?長期投資をするなら考えたい3つの視点