株式の時価総額を上げる方法は?どうやったら高くなる?

株式

時価総額とは、企業を丸ごと購入するための価格ということで、いわゆるその企業の価値という風に見られています。

時価総額が高いと、その分投資家のマネーが集中しやすくなったり、買収防衛にもなったり、社会的な信用度が高くなったりなど、企業側にとってもメリットがあります。

上場企業は、企業活動を通じて少しずつ時価総額を大きくしていく持続的成長を目指していくことが重要になります。

そんな時価総額ですが、実際に時価総額を上げるためにはどういう施策が考えられるでしょうか。

時価総額を上げるための方法①:株価を上げる

時価総額とは「株価×株数」なので、株価が上がれば時価総額が上がります。

株価は毎日変化するので、時価総額は毎日変動します。短期的な資金が動けば、それだけで時価総額もかなり変化したりなんてことも起こります。

ちなみに、株価は「純利益×PER」です。純利益の何倍まで買われているのか、ということがPERです。

なので、「PER」が高くなるだけでも、時価総額は高くなります。

同じ利益を計上する企業だったとしても、高PERの企業は、時価総額が必然的に高くなる傾向にあるのです。

一般的に、PERが高い株は割高銘柄ということで投資家には敬遠する方も多いです。一方、時価総額の観点からは、PERが高いほど時価総額は上昇していくことになります。

PERは将来への期待値です。

それゆえ、先進的な事業をやっていたり、将来への期待感が高い企業というのは、PERが上昇し、時価総額が高くなる傾向にあります。

 

業績や財務が良くても時価総額が低い銘柄というのは、PERが低く、投資家のその銘柄の将来への期待値があまり高くないことの表れでもあるわけです。

令和の時代は、世界の時価総額ランキングのトップは米国や中国の企業です。平成バブル崩壊前は、日本経済や日本企業への期待が高く、日本企業も世界の時価総額ランキング上位に顔を出していましたが、今は日本トップのトヨタ自動車でさえトップ10に入っておりません。

日本企業の時価総額が低いのは、世界的な企業と比べて、日本企業への期待値が低く、PERが安い水準に止まっているからです。

たまにマザーズやジャスダックなどの新興企業の銘柄の中にものすごい高いPERの銘柄があります。それは、マザーズやジャスダックのような新興企業には事業の伸びしろがまだまだあり、将来に大きな利益を稼いでくれるという期待感があるからです。

もちろん、ジャスダックやマザーズは、WEB企業、ハイテク企業など将来性がある分野の銘柄が多いというのも期待される理由の一つです。

逆に業績や財務は安定しているけど、成長可能性が狭く、固定費だけ大きくなりがちな重厚長大セクターの東証一部や東証二部銘柄のPERはどうしても低くなりがちになります。

また、マザーズやジャスダックなどの新興企業の銘柄の場合、事業投資が大きく、黒字ではなく赤字だったり、または非常に少ない黒字額の企業があります。

マザーズの上場企業の基準は時価総額10億以上ですから、PERが10倍とか、20倍とかまで売られてしまうと、流石に売られ過ぎてしまいます。

そのため、必然的に高PERにならざるをえないケースというのは少なくありません。

株数が増える

時価総額は「株価×株数」ですから、株数が増えるだけでも時価総額は上昇します。

株数が増えるには、いくつか方法があります。

一つは「増資」です。

増資とは、新たな株を発券して、それを投資家に売却することで企業が資金調達をする方法です。主に、資金需要が高い新興企業が行う「公募増資」や、赤字補填をするために債務超過企業が行う「第三者割当増資」などが多いです。

これらの方法は、株式を発行するので、発行済株式総数が増加します

ただし、増資によってただ株数が増えるだけでは、一株あたり利益(=EPS)や、一株あたり純資産(=BPS)は減少します。この希薄化により、その分、株価は下落してしまいます。

そのため、増資によって株数が増えても、その分株価が下落してしまえば、時価総額を上げる効果は帳消しになってしまいます。増資がすでに株を持っている既存株主に反する資本政策である理由がそのためです。

なので、増資によって時価総額が上昇するためには、増資による資金調達によって、企業が将来生み出すであろう利益への期待感が高まりPERが上昇する必要があります。

PERが上昇すれば、増資の希薄化による株価下落が一定程度の抑えることができ、時価総額を最終的に上昇させる可能性があります。

 

もう一つ株数を増やす方法が「株式分割」です。

株式分割とは「1株→10株」や「1株→2株」など、株を分割することです。

例えば、「1株→2株」の分割した企業の株を100株持っている株主は、その時期になれば自然と100株が200株になります。ですが、利益が増えている訳ではなく、株式数が単純に2倍に増えるだけなので、株価も機械的に1/2になります。

株式分割によって、株価が半分になり株数が2倍になれば、株主は得もしませんし、損もしません。もちろん時価総額も変わりません。

ですが、株式分割のメリットの一つである「流動性の向上」や、株価が安く買えるようになったりすることで、その銘柄への人気が高くなり、その分投資家のマネーが流入しやすくなります。その分株価が上昇しやすくなる可能性もあります。

そうなりますと、その株価上昇分によって時価総額を増やすことになります。

関連記事

自社株買いの企業側にとってのメリットとは?

株価上昇のカタリストになりうる材料の10種類まとめ

自社株買いの前兆や予兆はどんなものがある?自己株式取得の予測をたてる方法

上場企業の資本政策8つ解説|個人投資家トレーダーが最低限知っておくべきもの